契約DXツールで、日本社会の前進と約束の力の真価を実感できる未来を


ContractS株式会社(以下、ContractS)は、ビジネスプロセスの効率化とリスク軽減を支援するための契約DXツール「ContractS CLM」を通じて、契約プロセスのデジタル化による効率的な契約業務システムを提供する会社だ。従来の紙ベースの手続きや複雑な手続きを代替するだけでなく、契約書の作成、審査、締結、管理など、契約ライフサイクル全体を管理することによって煩雑な契約業務を一元化することができる。代表取締役社長として、組織づくりやファイナンス、株主対応から、セールス業務までを担うInspired.Labメンバーの安養寺鉄彦さんにインタビューを行なった。

「2017年3月に笹原(2023年1月31日まで共同代表を務めた笹原健太さん)が創業し、現在私が2代目社長として指揮を執っています。これまでにサービス名や社名の変遷はありましたが、創業以来一貫して契約業務の支援システム『ContractS CLM』を提供しています。契約書の作成から締結、管理まで、契約業務全般を一元化できるという点が特長で、電子契約だけでなく紙ベースの契約も統合的に扱うことが可能です。国内外での展開を考えると、海外ではCLM(=Contract Lifecycle Management)がデジタルデータの受け皿として機能しており、日本でも同様の動向が見られるだろうと予測しています。特にCOVID-19の影響を受けて、近年様々な電子契約サービスが広まっていますが、ContractS CLMは、三菱地所様を含む大企業からスタートアップまで幅広い業界でご利用いただいており、過去4年間でシェアNO.1を獲得しています。」

幼い頃から数字が大好きで、小学校で算数・数学に没頭し、中高生の頃は物理学者になりたかったと話す安養寺さん。しかし、社会についての知識が乏しいことに焦りを感じ、高校2年生の時に文系に転向。そして高校卒業後は、東京大学の経済学部へ進学し、多くの同級生がコンサル・金融・官僚を志望する中、新卒でスタートアップの世界に飛び込んだ。

「スタートアップの道に進んだのは、早く多くの経験を積みたいと思ったからです。と、表向きは言いつつも、直感と好奇心に従って進んだという方が正しいですね。ー年目は営業で、二年目に会社の上場準備があった際にいきなり経理・経営企画部門に異動になったのですが、それが経営・管理部門としてのキャリアの始まりでした。その後、転職した二社目では経営管理部長として入社したのですが、社長からマーケティング部門の部長との兼任を依頼され、自ら志願する形で二つの部長職を担うことになりました。そして、二社目が買収される形で三社目にグリー株式会社の所属となり、そこでM&Aやスタートアップへの投資、ジョイントベンチャーの設立、組織再編などを経験しました。大学卒業後からグリーまでに経験したものをなんとか当てはめながら、ContractSに生かしています。」

現在安養寺さんは、ContractSの組織づくりやファイナンス、株主対応等の社長業に加えセールス業務まで行っているという。ContractSに入社したきっかけはなんだったのだろう。

「グリーに入社する二社目まではスタートアップだったので、契約はそれほど複雑ではなかったのですが、M&Aでは利害関係者が多いうえに契約業務がかなり複雑だったので、この領域に課題の多さを感じるようになっていました。そのような中、グリーがスタートアップ投資をしていた関係でContractSを知り、契約DXを扱う会社ということで興味を持ちました。ContractSが、管理部門の採用を進めている際に声をかけていただいて、入社を決意しました。当初は、経理や財務関連の担当者が不在だったため、経営管理部長として入社したのですが、笹原さんの無茶振りも多く、一年後には事業サイドに異動し、更に一年後に共同代表に就任することになりました(笑)。そして笹原さん退任後、一人社長となりました。」

これまで様々な職種や立ち回りを経験してきた安養寺さんだが、自身のキャリアの積み重ねや現在の仕事内容は、幼い頃からの自身の性格が影響していると話す。

「幼少期から理由のわからない対立が嫌いで、学校や家庭内で調停的な役割を自分から買って出るような性格でした。就職後も、誰もやる人がいないのであれば、事業と管理の間に入ったり、社長と現場の間に入ったりと、自らブリッジ役を担ってきました。その中で、企業と管理部門の対立や事業の進行における契約関連のトラブルを目にして、契約がスムーズに進行することが事業の健全な成長を助ける手段だと強く感じるようになりました。契約は事業において取引そのものを意味するものであり、例えばM&Aの成否は契約によって左右されるので、それによって結果が180度変わってしまいます。このような経験から契約に対する意識が強まったのかもしれません。僕はあまり社交的なタイプではないのですが、なんとかしたいと思う性格なので、問題が起こっている場面では前に出ることができるんです。そういう自分の放っておけない性格と、他人を助けることで自分の好奇心を満たすことができるというところが、人生やキャリアの基盤に影響しているのかもしれないですね。」

DX化が優先されていなかった契約業務は 、COVID-19を機に注目を浴びるようになり、これまで埋もれていたニーズが浮き彫りになっていった。技術的な電子契約の信頼性が確立され、国が実質的な支持を示したことも契約DXの推進に拍車をかけるきっかけとなり、日本での契約DX領域は広がりを見せ始めている。

「日本はアメリカほどの訴訟社会ではないので、これまで契約は面倒くさいものとして扱われ、重要視されてこなかった側面がありました。ですが、歴史的に見ると約束の力が社会を前進させてきた例は多く、契約の力はとても大きいものです。約束は、お互いの信頼関係を前提に行動や結果の取り決めを行います。行動や結果が成功しなかった場合でも、誠実なやりとりを行えば関係が深まり、信頼関係が高まることでより良い約束ができます。この信頼のサイクルが守られることで、社会全体が良くなっていくと僕は思っていて、日本では契約が長らく重要視されてこなかったがゆえに、今後のポテンシャルは大きいと思っています。この領域の前進が社会的に大きなインパクトを与えられるので、それは面白いところですよね。」

契約DX領域のアップデートが加速する一方、日本では現在も、重要な場面での実印の使用が信頼性の象徴とされていたり、紙での契約が文化的に重要なコミュニケーションの手段とされたりとコンテキストが重視されている。契約DXの実現を通して、安養寺さんはどのような日本の未来を望んでいるのだろう。

「契約の力を通して、日本社会の前進と約束の力の真価を実感できる未来を妄想しています。契約業務は、誰かに皺寄せが行きながらなんとかなっている会社が多いのが現実です。契約業務全体のDX化によって、契約業務に関わる全ての人が調和の取れた形で業務が進むようになることで、良い契約条件が生まれる環境を作っていきたいです。『対立を耐えて飲み込む』といった姿勢は日本人の美徳とされる一方で、事業部門と管理部門の間に対立構造が存在する限り、良い契約や取引条件を実現することは難しいので、契約業務が対立や調整ではなく、コラボレーションの場になることが目標です。日本社会が健全なリスクテイクを行ったり有益な取引を成立させたりする環境が整えば、楽しい未来が実現すると信じています。」

最後に、安養寺さんにとってInspired.Labとは?

「柔軟性とコミュニケーションが生まれる場として魅力的なオフィスだなと思います。まず、オフィススペースに必要なデスクやホワイトボードといった物品を自分たちで揃える必要がなく、提供してもらえるのは大きな魅力ですね。オフィス移転の手間や煩雑さをマインドから解放できるだけで他の業務や事業に集中することができるので、とても幸福度が高いです。また、会議室やオフィススペースはもちろん、Design Thinking Spaceのように社員全員が集まれる大規模のスペースが使えるなど、必要な場面で必要なインフラが整っているので、柔軟で新しいなと感じます。さらに、Inspired.Labのイベントでは、スタートアップだけでなく大企業の方々とも交流できるので刺激を受けます。普段スタートアップの環境で働いていると、大企業の雰囲気や発想、システムが頭から離れていってしまうのですが、イベントを通じて大企業の方々の声や意見を直接聞くことができると、リアルな視点や感覚を得られるので、ありがたいです。」

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