さすらいながら楽しみながらたどり着いた現在地− 子供たちが安全に暮らせる未来を創りたい

トヨタ自動車は、2018年に「Mobility for All」というスローガンを掲げ、自動車をつくる会社からモビリティカンパニーへ変革していくというメッセージを発信した。コネクティッドカンパニーは、それより以前の2016年4月に世界中の自動車メーカーが注目しているCASE(Connected/Autonomous/Shared/Electric)の「C」をつかさどる社内組織として設立され、技術とビジネスの両方の領域でコネクティッド全般にわたる戦略企画、車載開発やインフラ開発などを担っている。メンバーの藤原亮太郎さんは、そのクルマの“つながる化”を推進する専門部署のバリューチェーン基盤開発部に所属している。

「僕がやっているのはデータ活用です。車についている通信機からは、スピードや現在地、ブレーキを踏むタイミングやハンドルを切った回数など様々なデータを取ることができます。そのすべてのデータをクラウドサーバーにあげるんです。車とクラウドが繋がると、最終的に全てが人と社会に繋がっていきます。取得したデータに加えて、国が公開しているオープンデータや、携帯電話会社が持っているスマホの情報など、あらゆるデータを組み合わせることでて人々の社会の困りごとを解決するというのが、コネクティッドカンパニーの大きな方向性だと僕は考えてます」

便利で豊かな心ときめくモビリティ社会の創造。藤原さんはモビリティ社会の未来を笑顔で暮らす子供たちを思い描いている。

「子供に車は危ないよと教えることが多いじゃないですか。これは自動車を作ってる側からするとあまりにも寂しいことです。だから僕は車は危ないと言わせないようにしたいんです。作りたいのは5秒先がわかる車です。現在、車のセンサーは100ミリ秒未満の世界が、スマホの位置情報からは数分後の世界がわかります。その間の3〜5秒先の世界がわかるようになったときに、子供と車の関係性が変わると思っています。また、それによって子供だけでなく、他にも移動に不自由を抱えている人の移動を安全なものにすることができると考えています。それを実現するために、データを用いるというアプローチをしています。よく新しいことをやれと言われると、データから何ができるだろうと考えがちですが、そこには魂が込められないなと思うんです。あるものを前提でできることを考えるより、何のために、何をしたいのか、から考えていく方が気持ちを込めて働けるなと思っています。僕の場合は、子供を助けたいんです。自分も子供の親ですしね。自動車会社が子供達を守ろうと力を入れているのはあまり聞かないけど、実は交通事故死が一番多い年齢は小学校1年生の6、7歳。それを知った時はとてもショックで、やるせない気持ちになりました。だからこそ子供達を守るというプロジェクトを前に進めていきたいと強く思っています」

熱い想いを胸に現在の仕事にコネクティッドしている藤原さんだが、自らのことを本来は高尚な目的を持つようなタイプではないと語る。

「僕は本当は何もないんです。流されるがままに生きてきました。大学では希望していた人気の研究室から定員割れしているところに回されましたし、最初に入った会社は自分がいけそうで初任給が高いところをいくつかピックアップした中の1つでした(笑)。下請けで駐車場の機械のソフトやシステムなどをつくっている会社で、最後の2年間が名古屋勤務でした。楽しかったのですが、なかなかハードな毎日で、ふとこのままだと10年後も名古屋にいるな、東京に戻りたいなと思い転職先を探しました。せっかく転職するなら、新しいことの開発をやってみたいなとトヨタ自動車の子会社に入社し、ナビの先行開発をしていました。その後、その会社がトヨタに吸収されて、僕はそのままトヨタの社員になるという、ドラマティックさが無い人生のストーリーを歩んできました。だから僕は本当に何もしていない(笑)。会社が決めてくれた方針に乗っかって受け入れて流された結果が今です。ただ1つだけ大事にしてきたことは、流されるがままに来ているのだけれど、その時々でやっている仕事を楽しんで取り組むということです。楽しくやりたいということを日々積み上げて行くと、そもそも自分は何がやりたいんだろう?というところから考える方が絶対に楽しい、と今の考え方にたどり着きました。仕事を始めてから、どうせやるなら楽しくというのはずっと変わってないですね」

さすらいながら楽しみながらたどり着いた現在地から、小さな未来の担い手を被害者にせずにこの街で安心して暮らす事を願っている。

-藤原さんにとってInspired.Labとは?
「心の拠り所ですよ。僕はInspired.Labに入居する以前から、同じフロアにあるトヨタ大手町オフィスに籍を置きながら、ひとりここのカフェラウンジに毎日のように来ていましたから。最初は何だかおしゃれそうだなとか、楽しそうだなとか軽い気持ちからだったのですが、コーヒーもとてもおいしいし居心地が良くて。いつの間にか友達も何人かできていました。晴れて正式にメンバーとなり、2年が経ち以前にも増して自分の居場所になっています。僕、体の半分はInspired.Labのコミュニティオーガナイザーだと思っていますから(笑)。ここのような素敵なコミュニティを社内でも作れたらと思います。実際に、僕がInspired.Labにいるという話を聞きつけて今まで関わりがなかった社内の事業企画グループの人から問い合わせが来たりして、社内でのいい意味で謎な繋がりが増えている。すごく面白いなと思いますね」

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