価値の本質を考えながら新事業創出を支援する

『昨日まで世界になかったものを。』旭化成グループはこれまでさまざまな新事業を創出することで、社会に新たな価値を提供し続けてきた。そのような中、さらに新事業創出を加速させるべく2019年に設立されたマーケティング&イノベーション本部(以下M&I本部)は社会の課題、顧客ニーズを重視したプロジェクトや既存事業の枠を超えるプロジェクトを取り扱い、それらを支える基盤構築・改善も行いながら新規市場の開拓を目指している。Inspired.Labメンバーの高田えみかさんはM&I本部のデザイン&プロトタイピンググループ(以下D&P)に在籍している。

「D&Pがやっていることは、社内の新事業創出プロジェクトが仮説検証をするステップで、その仮説をプロジェクトが想定しているお客さんのところに届ける手段を提供したり、手段を得るためのサポートをしたりすること、すなわちお客様の体験に基づく仮説検証の支援です。具体的にはソフトウェアでアプリケーションを作ったり、電子回路を設計して基板を起こしたりもしますし、もっと毛色が違うところで言えばセンサーボードを格納するための筐体を設計し3Dプリンターで試作したり、金型を起こすための外注の部分までサポートしたりと、多岐にわたる技術領域でものづくりの支援を行っています。現在までにD&Pに所属している5人で10個弱ほどのプロジェクトを様々な形で支援しています。さらに、D&Pが蓄えた知見を新事業を創出したいと思った人が利用できるよう、少しずつドキュメントにそれらをまとめていくという作業も並行して行っています」

2022年に創業100年を迎える老舗総合化学メーカーでエネルギッシュに働く高田さん。学生時代に魅せられていたのは物理の世界だ。

「中学生の時に親に連れられて行った宇宙飛行士の毛利衛さんの講演会で、”宇宙飛行士がロケットの中でフワフワ浮いているイメージがあるけれど、あれは高速で動いているロケットの中が無重力状態になっているだけで宇宙は無重力空間なわけではなく地球という星がある以上その周りには常に重力場がある”という話を聞きました。当時は全く理解できなかったんですけど、直感的に想像してた世界が直感にそぐわない理論と隣り合わせにあるのだと衝撃を受けました。そこから物理に興味を持ち始めましたね。大学院では物性理論を専攻しました。かなりマニアックな研究領域なのでなかなか進路が思い描きづらく悩んでいたのですが、ちょうどそんな時に旭化成のインターンシップ募集がありました。私は博士課程だったのですが、修士時代に少しだけ就活をした時に旭化成の人事の方がドクター人材にも価値があるとおっしゃていたのを思い出し申し込みました。無事に合格しインターンで入ったところが電子コンパスの開発者で、旭化成の現シニアイントラプレナーの山下昌哉さんが持っている組織でした。そこに入ったことが今の仕事につながる第一歩だったような気がします。入社する半年前に山下さんが自身の名前を冠した山下昌哉研究室(MY Lab)を設立し、私はそこに初任配属されました。インターンでの出会いがなければそんな人事はありえなかったと思うので、つくづく縁だなと思います。MY Labに入ってからは住宅の中に様々なメーカーのロボットが乱立してきた時に生まれるであろうニーズを検討したり、芸術と技術の融合領域における新事業の可能性を模索したりする中で、ずっと新事業創出のためのプロセスやノウハウの部分の研究をしていました。そして2年前にM&I本部が設立された時にMY Labごと新しい本部に移設され、現在に至ります。入社する4年も前の修士の頃の就活にきっかけがあったと言えますし、本当に人の縁で今があるなと思っています」

入社してから今日まで新事業を模索し続ける5年間を過ごした高田さんにとって、困難と楽しさは常に抱き合わせだ。

「具体的な事例を挙げると今作っているあるシステムが、クラウド側のシステムとユーザーのところに置く物理的なハードウェア、ユーザーにとってのシステムへのインターフェースになるウェブアプリケーションという3つから構成されるのですが、それをゼロから作り上げる時に『こういうサービスを提供したい』というプロジェクトのパッションから始まり、ヒアリングを重ねてああでもないこうでもないと言いながらソフトウェアの世界でいう仕様を明確にしていくというプロセスを辿りました。すごく大変でしたが、今考えると面白かったなと思うんです。その面白さの根元にあるのが、プロジェクトの人と一緒になってそのプロジェクトがユーザーに届けようとしている価値の本質が何かを、常に頭の中で悶々としながら考えるということです。そのようなことを考えさせてもらえるのは新事業創出の時ならではなのかなと思います。事業化された後だと価値はフィックスされ、その価値を待ち望んでいるお客さんに確実に届けることが重要になってきますから。提供価値が未確定だというところが難しくもあり面白くもあります。HowよりWhatのようなことですね。答えが未知数という点において物性理論の研究とも似たところがあるのかなとも感じています。もちろんうまくいかない時期が続くときは辛いですが、そこから学べば次のステップで活きてくるのでトータルで考えると楽しいしワクワクするなと思いますね。ある種気長でないとできないことかもしれませんが(笑)」

未知との遭遇にもがきながら、楽しみながら歩んできたこれまで。昨日まで世界になかったものを生みだすために高田さんは今何を考えているのだろうか。

「アイデアを事業にしていきたいと思った人が所属に関係なくトライできるような環境になればいいなと思っています。みんなが手をあげられるようにするには、プロジェクト化前のインキュベーション的な支援や、プロジェクト化後のものづくり支援などが必要です。この辺りが課題だと感じていて、ピンポイントで1プロジェクトを支援ということではなくシステマティックにできるようにしたいですね。そしていずれはD&Pで蓄えた知見に全社員がアクセスできるようにしたい。今後さらにやりたいと思った人が挑戦できるワクワクすることができる会社になればいいなと思います」

​​-高田さんにとってInspired.Labとはどんな場所ですか?

「この質問を聞いて一番最初に思ったのは元気が出る場所ですね。エレベーターを上がった時には、何ヶ月も来ていなくてもいつもと変わらずコミュニティオーガナイザーの方やカフェスタッフの方々がこんにちはと声をかけてくれます。ラウンジでは1人で集中して仕事をしてる方や、お喋りしながらアイデアについて議論してる方など様々で面白く、勝手にこの空間から元気をもらっています」

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