人々をワクワクさせる最新のフレキシブル技術

薄くて軽く、曲げられて、落としても割れにくい魔法のようなディスプレイ。中国発のスタートアップRoyoleは創業以来革新的なフレキシブルディスプレイの技術とアプリケーションの開発に取り組み、2014年に世界初の厚さ0.01mmのフレキシブルディスプレイを発表してフレキシブル技術の分野において世界を牽引し続けている。Inspired.Labメンバーの高 龍さんはこのRoyole日本法人の責任者を務めている。

「Royoleは、折り曲げたり丸めたりすることができる軽量薄型のフレキシブルディスプレイと、曲面に取り付けることのできるフレキシブルセンサーという2つのコア技術を持っています。この技術を用いて、モバイルデバイス、スマート交通、娯楽・メディア、スポーツ・ファッション、教育・オフィス、スマートホームの6つの分野に注力しています。BtoBとBtoCの両方に事業を展開しており、一昨年にはルイ・ヴィトンとのコラボレーションでディスプレイつきバッグを発表し、日本でも大きな話題を呼びました。最近でいうと紙のノートに専用のペンで手書し、書いた内容を全てリアルタイムでデータ化し保存できる電子ノート『​​RoWrite2』というプロダクトは、クラウドファンディングで約1700万円、達成率3500%近くの支援を集めました。私は主に日本法人のセールス、市場開拓を担っており現在日本のモバイルキャリアをはじめとする様々なメーカーと話を進めています。また、日本法人はメンバーが3人と少ないこともあり、中国の本社とのブリッジのような役割も私がやっています」

学生時代まで中国で過ごし、大学卒業後に来日した高さん。どのようにして今の仕事にたどり着いたのだろうか。

「6歳くらいの時に中国の西安のとある有名なホテルで初めて日本の方と出会い、一緒にダーツをして遊んだことを今でも覚えています。ここから私と日本との不思議な縁が始まったような気がします。小さい頃は日本のアニメがとても好きでしたし、ソニーやパナソニックのカセットウォークマンの登場にはこんなにすごいものが作れるのかと学生ながら衝撃を受けました。一生懸命お金を貯めてソニーもパナソニックも両方とも購入しました。さすが日本の商品だと思って、いつか日本に行きたいなという気持ちをずっと持っていましたね。大学で電子工学を学んでいたところ、大学4年生の時についに仕事で日本に行くチャンスにめぐり合い、迷うことなく日本行きを決めました。日立グループの会社でソフトウェアの開発を数年やったあと、中国有線通信最大手のチャイナテレコムの日本支社に転職しセールスマネージャーをやることになりました。SEとは全く違う仕事だったのですが、私は色々なことにチャレンジをしたいタイプなのでもっと広い世界を見たいという気持ちで取り組みました。余談ですが、音楽好きが高じて音楽事務所と契約して歌手をやっていたこともあります。それくらい様々なことに挑戦したいタチなんです(笑)。そして、2015年に中国の先輩からRoyoleを紹介してもらいました。当時創業4年目だったのですが、その素晴らしい技術に未来を感じ一緒にこの会社で働きたいなと思いました。そこから深センをたびたび訪れ、CEOと話し合いを重ね満を持して2019年に正式にRoyoleに参画しました」

日本法人の責任者として日本と中国の間に立つ際、障害となるのが両国の文化や国民性の違いだ。

「例えば日本では月末締めが当たり前ですが、中国には月末締めという概念自体がないのでそれを理解してもらうために、日本は信用社会ですから、と毎回説明する必要があります。また、BtoCの商品説明書も本社のプロダクトマネージャーが作ったものなので、日本の市場に合わない部分が多々あり、私たちが日本の業者に依頼をして話し合いながら作っています。そういう意味では、ある意味プロダクトマネージャーとしての立場も兼ねていると言えるかもしれないですね。本社には日本のことをしっかり理解できる人が少ない中で、日本で業務展開することは正直大変です。しかし、世界で唯一の最新技術であるということを全員が理解しているので、常にワクワクしながら働いていますし困難も面白がることができます。新商品を開発する際のアイデアもすごく豊富です。やはり今までにないものを作るのということが1番面白い。だからこそお客さんに喜んでもらえるし、その反応を見ることがやりがいになります。ほとんどの人が弊社の技術に興味があるはずだと自負しています。新し過ぎてまだどのように商品になるのかが見えにくい部分があるので少し時間はかかるかもしれませんが、技術的な課題をひとつずつ解決していけているという手応えを感じ始めています。ディスプレイは最初は画面にムラがありましたが、技術更新によって解決できましたし、薄さに関しても0.001mm単位で技術者たちが日々努力をしています。その甲斐もあり、日本でも注文が多く入り始めています。そして何より、活用方法も少しずつ見えてきました。まだここでは言えないのですが、すごく未来感があってワクワクする話がいっぱいありますよ」

あの日初めてウォークマンを手にしたときに感じたようなワクワク感を今も持ち続けながら働いている高さん。その無垢な目で見据える未来には何が見えるのだろうか。

「今はセールス中心ですが、今後は日本の眠っている技術をもっと活用したいと思っています。RoyoleのR&Dセンターを日本に作りたいですね。日本の企業は東南アジアと繋がりが強く、リソースもたくさんあるので日本法人をアジア太平洋の中心にしたいと思っています。そして、Royoleの技術を通じて人々の生活がより便利で豊かになることを期待しています。私は今のスマートフォンは液晶を使っている分、まだまだ重いと感じています。弊社の技術があれば、シートディスプレイ1枚で多くの情報を手元に持つことができます。便利で未来感があるツールは、人々の生活を大きく変化させる可能性を秘めています。あらゆる曲面がビジネスチャンスになるので広告の新しい形式も生まれて来るはずです。例えばディスプレイを衣服に取り付けそこに広告を流すことができれば、その衣服を着て街を歩くだけの仕事ができるかもしれない。新鮮なものが生まれてくれば人々の日常はより彩られていきますし、そんなことを想像できること自体に今ワクワクしています。できること、やりたいことがありすぎて集中できないくらいです(笑)」

-高さんにとってInspired.Labとはどんな場所ですか?

「来たい場所、居たい場所です。明るく楽しいコミュニティオーガナイザーの方もいますし、メンバー同士も友達のようにフラットに接することができる。シンプルにすごく居心地がいいです。他にこんな場所はなかなかないと思います。オフィスの現代化、国際化、人々のコミュニケーションの取り方など、伝統的な日本企業と全然違う雰囲気なのがいいですね。これは今後の日本企業全般に必要なイノベーションだと思います」

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