ブロックチェーンによってデジタル空間は拡大していく

ブロックチェーンは、ビットコインを契機として仮想通貨の基盤技術としてまたたく間にその名を社会に知られるようになった。その技術は今や、仮想通貨のみならず、医療、芸術、ビジネスなどあらゆる分野で変革を起こすものとして、さらなる研究開発が進められている。Inspired.Labメンバーの北原弘司さんはブロックチェーンを使った分散型ビジネスモデルのソリューションを提供する株式会社レシカに在籍している。

「ブロックチェーン技術を活用したアプリ開発がメイン業務になります。それに伴うコンサルやPM等のビジネスサイドのことを担当しています。今は主に2つの事業があります。1つは『livesola』というアイドルや声優などのIPホルダーの写真や音声や動画をブロックチェーン技術を用いてデジタルコンテンツ化、アイテム化して販売するサービスです。ファンがオンラインライブ配信を楽しめると同時に、IPホルダーにはプラットフォームに依存しない課金システムを提供し、エンターテインメント業界の収益性の向上に貢献することを目指しています。もう1つは『UniCask』という蒸留酒、ウィスキーの樽をNFTでアイテム化して取引するというサービスです。樽で寝かせると価値が上がる蒸留酒は、ごく一部のコミュニティで投資の対象となっていましたが、このサービスによって誰でも簡単に蒸留酒投資ができるようになります。今やっていることは全て何かしらブロックチェーンが絡んでいることですね」

もともとは貿易商社で働いていた北原さん。海外送金の不便さに疑問を持ったところからブロックチェーンと運命の出会いを果たす。

「テクノロジーによって情報は数秒で送ることができるのに、お金となった途端にそれができないということに疑問を抱きました。金融というレガシーな部分をテックで何とかできないかなと考えていた時に仮想通貨のことを知りました。ちょうどそれが2017年頃の仮想通貨が流行り始めた頃なのですが、僕としては投機としてよりテックとして凄いなという感覚の方が強かったです。ブロックチェーンはいずれインフラになるなと思い、この領域が伸びることを確信しました。株式や為替などと異なり、仮想通貨やブロックチェーンはまだ歴史がない新しい領域なので誰も権威と呼べる人がいないんですよ。特に日本ではポジションを取っている人が非常に少なかった。なので職としてもおもしろいし、人生としても懸ける意味があると思いました。そこからブロックチェーンの世界にどっぷりとのめり込み『雨弓』という名前で日本で1番ビットコインキャッシュに詳しくなり、SNSなどで情報を発信し続けて、出版社の方から認知してもうこともでき、本も出版しました。業界でそこそこ有名になったことで、該当の仮想通貨関連の財団から支援を受けたり、物品提供をしてもらったりしてソロの活動を中心にしながら仮想通貨取引所を手伝っていた時に代表のクリスさんに出会い、レシカに参画しました。『雨弓』は最初は投資用の情報収集アカウントだったのですが、ただ見ているだけではなくニュースを作りにいく、つまりプロダクトを作った方がおもしろいなという方向に考えが変わっていきました」

新鋭のテクノロジーを駆使することを生業とする上で、立ちはだかるのがその領域の大きさだ。

「ブロックチェーンの領域は、変化のスピードがめちゃくちゃ速いし、広いんですよ。学問の領域としては経済学や法律はもちろん、時にはどうあるべきかというような哲学も絡んできますし、最近はビジネス領域としてエンタメやアートなども入ってきています。そもそも作っているプロダクトの多くは前例がないので、調べても出てこないということがよく起こります。網羅するということがほとんど無理な世界です。しかし、自分が情報を拾えるコミュニティを持っていればある程度の対応が可能になってきます。ブロックチェーンはディセントラライズという言葉をよく使うのですが、ビットコイン自体が普通のシステムとは違って1つの中央サーバーで企業が管理するというものではなく、みんなでデータを持ち合うという考え方なんです。ユーザーはみんなで意見を出し合う民主主義的な考え方が好きなので、その分情報がオープンです。僕自身もどんどん情報を出すし、他の人たちも出してくれる。幸い僕の場合は、『雨弓』というアカウントがパワーを持つようになったので、何かを聞いたら多くの場合誰かが教えてくれます。イベントを一緒にやりましょうとか、クラブハウスをこういうテーマでやりましょうというような提案もどんどん受け入れてもらえる。実際に今年になってから国会議員を2名招いてのクラブハウスでのトークイベントも共同で企画し開催しました。新しい領域だからこそ、興味を持って勉強すれば誰でもある程度影響力を持てるようになれます。本業関係なく趣味で海外のプロジェクトを漁りまくっていたらブロックチェーンに詳しくなった、というような人たちがSNS上にいて、そういった人たちがいま企業から重宝されています。その中で新しい技術に対して、会社として法人としていかに実装するかというのを考えることは大変ではありますが、とてもおもしろいですね」

学生時代には陸上に没頭し、インターハイにも出場した。常に興味と勝算を両立させながら、現在も権威不在の新業界で先頭集団を走り続けている北原さん。その目で見据える未来にはどのような世界が広がっているのだろうか。

「僕はブロックチェーン技術をVRの領域に持っていきたいと思っています。今後デジタルな空間が我々の生活に占める割合が増えてきたときに、お金やルールやインセンティブ、またデータ基盤そのものにブロックチェーンが入っていく。VRとブロックチェーンはとても相性がいいんです。最近デジタルの絵画などが高額で売れているのですが、そういったことがもっと当たり前になってくると、VRの自分の家に現実と同じように、例えば玄関に彫刻品や掛け軸を飾ってみようというふうになってくると思います。その時に、ブランドとかだとわかりやすいのですが、本物か本物じゃないかというところが重要で、そこに対してお金を払っています。そうすると、玄関には無料のデータじゃなくて数百円でも自分がセンスがいいと思っているものを置こうとか、そのうち数万円のデータを飾りたいというようになっていく。そうしているうちに世界はさらにデジタル化していくんだと思います。リアルはリアルで少なくとも我々が生きている間は重要だと思うので、そこがなくなるというよりは少しずつデジタルが拡大するというイメージです。特に今の若い人はガチャなどに課金する文化があるので、デジタルなアイテムに課金するというハードルはどんどん下がっていくと思います。デジタルデータは財産として持つことができて、その後10倍の値段で売れるということもあり得ますから。みんながおもしろがってデジタルデータを持つという世界は、もうそこまできているような気がしますね」

-北原さんにとってInspired.Labとはどんな場所ですか?

「僕は例えでよく潮目と言っています。まず大企業とスタートアップというのがコンセプトとしてあると思うので、そういった意味で交流ポイント、合流地点、様々なものがぶつかる場所だと感じています。そして、多様性がある中でもみんなすごくフラットですね。本当はすごく偉い人なんだろうなという他社の人とも普通に話せるし、飲みにいくこともあります。それぞれが一個人として存在することができる。そこがInspired.Labの面白いところですね」

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