利益を作るだけ、ではなく未来も創る。賢者ではなく、勇者を集める。
まったく新しいコンセプトで挑む、積水化学工業流のイノベーションとは

「積水化学の創業者たちは、そのパイオニア精神から社内で”7人の侍”と呼ばれています。今の新しい時代に”新・7人の侍”を作るのが私の仕事です」

そう話すのは、昨年新事業開発部 部長に就任した吉岡忠彦さんだ。ここInspired.Labを拠点にしながら、イノベーションチームを立ち上げた。

2001年から積水化学はカンパニー制に移行し、「選択と集中」によっていかに収益を生み出せるかをミッションに事業を成長させてきた。しかし世の中のテクノロジー化やグローバル化の速度が増し、不確実で先が見えないこの時代において、短期的に収益を出すだけでは未来が無い。収益を生み出しながら、長期的な目線で世の中にまだない市場や産業を生み出し、社会課題を解決し続けるにはイノベーションが必要不可欠だと吉岡さんは考えたという。

「この先の10年は『収益を作る』というレイヤーにもう一枚重ねて『未来を創る』というセカンドレイヤーを作りたい。今までは収益を作る意識の方が強かったので、未来を創る方を強化したい。価値観を共有できる人たちと一緒に、こういう世の中を創っていこうと市場に問いかけながら新しいことをやっていく。そのために、会社に提案してイノベーションを起こすことを目的としたチームを立ち上げました」

これまで社内になかった新しい概念でチームを創り、制度を作り、人や文化を作っていくという。その指揮を取る吉岡さんは1991年に積水化学工業に入社。30年のキャリアのうち、平均3年弱で仕事内容や勤務地が変わってきたという社内でも異例の存在だ。

「入社後に担当したのが自動車部品素材の研究開発(R&D)だったので、グローバルに関われる仕事でした。数年後アメリカに転勤になり、アメリカでの技術サービスセンターを立ち上げました。その後日本に戻り、クライアントと何の製品を開発するか、何が求められているかを考えるマーケティングと製品企画を担当。この時も自動車の部品素材を担当していたので、世界中の自動車メーカーのR&Dに出入りし、毎月欧米に出張して合間に韓国に行って…と、時差が戻る前に

次の地域に行くという生活でしたね。その後会社がインドの現地法人と合弁会社を立ち上げることになり、取締役としてインドへ渡り後にCEOに就任。インドの成長が著しい時期だったので、バイクと車の部品を製造するための工場を毎年のように立ち上げました。当時は短期、中期、長期でそれぞれやるべきことの作戦を考えて実行し、赴任時に赤字だったところを4年間で十分利益貢献が出来る会社にして帰ってきました。帰国後は研究所のイノベーションセンターの立ち上げに関わり、どうしたらいいアイデアが生まれるのかを軸に、センターの設計コンセプトはもちろん、どんな制度や仕組みを作ればいい組織が生まれるのか、4年間かけて取り組み、完成させました」

これまで研究開発と経営を極めてきた吉岡さんだが、この先もその2つの道を極め続けるのではなく、3つ目の道としてイノベーションに取り組むことを決めた。何故なのだろうか?

「2本の柱を繋いでも、どこまで行っても直線にしかならないですよね。でもそこにもう一つの違う方向に3本目の柱が加わると三角形になって、幅を広げていける。その面積を広げていくのが自分の幅が広がることになり面白いなと思ったので、自分の中にもう一つ柱を立てようと思ったんです。今からの人生何をやったら面白いだろう?と考えた時に、今までの多様な経験がすべて生きてくるのがイノベーションだと思いました。日本は液晶パネルも半導体もことごとく海外にやられてしまっているのが現状です。産業人としてここからどう日本が復活していけばいいのかと考えた時に、やっぱり知恵でイノベーションを起こして、知恵で勝つ。そこにまた人が集まって発展する。そんな風に日本をもっといい国にしたい、いい世の中にしたいと思い描いた時に、1人だけ1社だけでやれることなんて限られてくる。価値観を共にする人たちとチームで一緒にやっていきたいと思い、イノベーションチームを立ち上げました」

設立にあたりチームメンバーを社内公募したところ、これまでで一番多くの応募があったという。

「熱い募集文の結びを『自分を賢者ではなく勇者だと思う人は、是非ご一考を』という一文にしたんです。そしたらたくさんの勇者が集まってきてくれました。やっぱりこれまでの会社のミッションはいかに利益を出すかになりがちだったので、自分がやりたいことがあるのに叶わないという人もいたんですね。社内の様々な部門、様々なバックグラウンドを持っているメンバーが集まったので、彼らの持っている能力を120%発揮できるようにして、それを掛け合わせていかにいいチームが作れるかが目下の目標です。積水化学工業が創業した当時、創業者の7人はそのパイオニア精神から”7人の侍”と呼ばれたんですね。私はこの部署を作ることは、積水化学工業の第二創業宣言と言ってるんです。このイノベーションチームから”新・7人の侍”を生み出したいですね」

吉岡さんにとってInspired.Labはどんな場所?

「Explore(冒険)できる場所であり、人も場所も空間も、自分の好奇心がつまっている場所。会社では出会えない人との偶然の出会いがあったり、新しい知恵や知識、文化が吸収できる。名前の通り、いろんなことをInspireされている場所ですね」

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